【医師監修】AGAを自宅でケア!効果的な育毛剤の選び方
突然ですが、皆さんはAGAや薄毛のお悩みについて、何かホームケアをしていますか?
自宅での薄毛ケアと聞くと、ほとんどの人は「育毛剤の使用」を思い浮かべるのではないでしょうか?
しかし、一口に育毛剤といっても気が遠くなるほど種類があり、含まれている成分も多種多様で複雑なため、一体どんな育毛剤が自分に合っているのか、どこに注目して選べばいいのかが分からなくて、お困りの方も多いのではないでしょうか?
そこで今回は、自分に合った育毛剤、なおかつAGAや薄毛への効果が期待できる育毛剤の選び方をご紹介しようと思います。
AGAや薄毛をケアする育毛剤は何を基準に選ぶべき?
皆さんはどんなことを基準に育毛剤を選びますか? 価格でしょうか、販売メーカーへの信頼性でしょうか、はたまたネット口コミの評判のよさでしょうか。
誰もが同じ基準で育毛剤を選ばなければいけないワケではないので、ひとつに限定するべき話でもないのかもしれませんが、どうせ育毛剤を使うなら、効果が期待できるものを選びたいですよね?
そのためには、どのような成分が含まれているかだけではなく、その成分は本当に医学的に効果が見込めるのか、どのように薄毛に働いて、髪にどんな作用をもたらしてくれるのか、それは自分に合っているのか、といった点について理解することが必要です。
ですがその前に、もっと根本的なことである「育毛剤とは何なのか」についても考えてみましょう。私たちが何気なく「育毛剤」と呼んでいる商品には、実は細かな違いがあり、これを知っていると知らないとでは、「育毛剤選び」の失敗リスクが格段に違ってきます。
どのような違いなのか、さっそく見てみましょう。
そもそも「育毛剤」とは? 厳密には3つの分類がある
日常生活で「育毛剤」という言葉を使うとき、そこに含まれる厳密な区分を意識している人は、どれほどいるでしょうか?私たちが何気なく「育毛剤」と呼んでいるものは、実は大きく3つの分類に分けられます。
薄毛症状を改善するために頭皮に塗っているもの、というくらいの印象で「育毛剤」という言葉が使われるのも、そう珍しいことではありません。これは3つの分類を一緒くたにしている状況ですから、ここでは「いわゆる育毛剤」という表現を用いることにします。
ではその、「いわゆる育毛剤」がどのように分かれるのか、その3分類をご説明します。
1つ目は、医薬品に指定されているものです。病気の治療を目的とし、厚生労働省から効能・効果が認められているものだけがこれに該当します。
その製品は、厳密に言えば育毛剤に該当しません。「発毛剤」が正しい呼び方です。医薬品に指定されているか、されていないか。育毛剤と発毛剤の違いはこの点にあります。従って、医薬品として認めらていないものを「発毛剤」として販売することはできません。
2つ目は、医薬部外品に指定されているもので、これが本来「育毛剤」と呼ばれるものといって差し支えないでしょう。医薬部外品に使用されている成分も、厚生労働省から認められたものになりますが、医薬品よりも効果や副作用がおだやかで、治療というよりは「予防」を目的としていると考えるのが分かりやすいかもしれません。
3つ目の分類は、医薬品でも医薬部外品でもなく、化粧品に指定されているものです。これに該当する「いわゆる育毛剤」は「スカルプローション」や「スカルプリキッド」と呼ぶのが適切です。医薬部外品よりもさらに有効度が低いものとして捉えられることが多いのですが、必ずしもそうでない場合もあるので注意が必要です(これについては後ほど解説します)。
医薬品(発毛剤)、医薬部外品(育毛剤)、化粧品(スカルプローションやスカルプリキッド)、この3種・3分類それぞれには、それぞれ一長一短があります。まずはそれを知っておくことが「いわゆる育毛剤」を選ぶときに大変重要な指標となります。
それでは、それぞれにどのような一長一短があるのか、詳しくみてみましょう。
効果が認められ、医薬品に指定されたものは「発毛剤」
上述のとおり、厚生労働省から医薬品に指定されているものは、育毛剤ではなく「発毛剤」と呼ぶのが正確です。
医薬品の指定を受けている発毛剤は、厚生労働省から有効成分に関する医学的な治療効果が認められているため、一定の効果が見込めます。ただし、それでも絶対ではないですし、医薬品の指定を受けることで生じるデメリットもあるので、その点もしっかり理解しておかなければいけません。
医薬品は古い薬!? 医薬品の指定を受けることの大変さ
発毛剤が抱える短所とは、医薬品の指定を受けるプロセスにあります。平成29年11月に発表された経済産業省の資料によりますと、医薬品として厚生労働省から認められるためには、平均で9.2年という年月と、約90億円ものコストがかかると報告されています。
医薬品ができるまでの過程を、順を追って説明すると、まずは基礎研究という段階からスタートします。企業が治療効果のありそうな成分や化合物を見つけ出す作業です。スクリーニングとも呼ばれますが、この段階で2~3年の時間がかかります。
それをパスすると、動物実験の段階へと進みます。新薬の候補となる成分や化合物を動物に試して効果や副作用、安全性を確認します。ここでもやはり3~5年程度の時間がかかります。
これが終わるといよいよ臨床試験と呼ばれる段階に入ります。人間に対しての効果や副作用、安全性などの確認をします。臨床試験は全部で三つの段階に分かれており、3年~7年、あるいはもっと長い時間がかかる場合があります。
それらすべてが終わって医薬品としての承認申請を行い、審査に入ることになりますが、そこでも一般的には1~2年、あるいはまたそれ以上の時間がかかるといわています。さらに、一般医薬品として販売するには、ここからまた「市販後調査」というものが必要になります。多くの人々が長期間試しても問題がないかどうかを調べるもので、当然また年単位の時間を必要とすることになります。
このように、医薬品の指定を受ける発毛剤を作り出すためには、本当に気の遠くなるような時間と莫大な労力、コストがかかっているのです。しかしその間、治療の最前線も進んでいきます。やっと新薬として認められたとしても、その薬は最低でも10年以上前に発見された成分を使用している薬、ということになるのです。
これが、医薬品としての指定を受けているもののデメリット、短所の部分です。医薬品として登場した頃には、どうしても「古い成分・古い治療」になってしまっている、ということです。いま注目されている最新の成分を使用して、「医薬品(発毛剤)」として処方あるいは販売することは、制度上どうしても出来ないのです。
医薬部外品に指定されているのが「育毛剤」
医薬部外品に指定されてているものが「育毛剤」と呼ばれます。医薬品ほどの効果や副作用は認められていないながらも、症状を「予防」する程度の効果が期待できるものが該当します。
実際のところ、医薬部外品を正確に理解している人は少ないのかもしれませんが、名称から何となくイメージは伝わるため、医薬品ほどではないけれどもそれなりに効果があるのだろう、というような印象をもっている人もいらっしゃるかもしれません。
もっとも、それは妥当な認識であるといえます。医薬品ほど効能・効果が大きいわけではないといえども、研究データも含めたうえで厚生労働省から有効性が確認されている成分であることは確かなのですから、効果に期待を寄せるのは間違ったことではありません。
ですが、医薬部外品に指定されていれば効果はある程度期待できる、と一概には言えない事情もあるのです。
意外と知られていない医薬部外品「育毛剤」の盲点
医薬部外品(育毛剤)も、これまでになかった成分で指定を受けようとすると、医薬品の場合と同じように非常に長い年月や莫大なコストがかかります。
それでも多くの研究や試験を重ねてデータを集めながら認可を受けたものであれば、それなりの効果が認められるかもしれません。ですが、医薬部外品の指定を受けて販売されている製品のなかには、過去に指定された成分を流用して作られているものも少なくないのです。
そうった利用をされやすい成分の代表的な例として、塩化リゾチームがあります。働きとしては、炎症を抑えたり、消毒・殺菌する効果が認められており、薬用シャンプーや薬用ハミガキなど、私たいちの身の周りにある様々な製品に配合されています。
そのため、医薬部外品という指定ならば、医薬品に次ぐくらいの効果があるだろうと思い込むのは危険です。期待したような効果が得られなくなる場合も十分想定できるため、医薬部外品指定といえども注意が必要です。
化粧品に分類される製品は「スカルプローション」や「スカルプリキッド」
医薬品でも医薬部外品でもないものについては、「化粧品」という区分に分類され、これに該当する「いわゆる育毛剤」のことを、「スカルプローション」や「スカルプリキッド」などと呼びます。
医薬品や医薬部外品のように、何年もかけて効果や安全性に対する試験を行ったり、膨大なデータを揃えたりする必要がない反面、医薬品や医薬部外品と同じような効果をうたうことはできません。
そのため、医薬品や医薬部外品と比べた場合には、効果への期待がほとんどないと思われてしまいがちなのですが、実はそうとも限らないのです。
「化粧品」は効果がないは誤り! 誤解を生みやすい事情とは!?
化粧品に指定されているスカルプリキッドには効果への期待がもていないと考える人が多く存在してしまうのは、医薬品のように公的に認められていないからというだけではなく、よく分からないインチキのような商品であっても売り出せてしまうから、という構造的な理由も大きいと考えられます。
実際、そのような商品が出回っているのも事実です。たとえば、薄毛を改善させる主要な成分として、天然由来の植物エキスや果実のエキス、海草などから抽出したエキスを使っているものを見かけたことはないでしょうか?
補助的な成分として配合されるのならまだしも、抜け毛予防や発毛促進といった、期待されるメインの効果について、医学的根拠に乏しいうえに、AGA治療と何の関係もない成分を使用している製品は、信用すべきでないと言わざるを得ないでしょう。
しかしながら、市販されているスカルプリキッドのなかには、効果への期待がもてる製品もあるのです。なぜかというと、着眼点の鋭い小さな企業などは、公的認可のための時間的・経済的コストを避け、敢えてスカルプリキッドとして販売することを選択することがあるためです。
単純に認可のためのコストが賄えないからというだけではなく、指定までにどうしても10年以上もの年月がかかってしまう制度的なデメリットを避けることで、最新の注目成分を配合した新しい製品を、使用者にスピーディに提供できるというメリットが生まれてくるからです。
そういう事情を考えれば、化粧品という指定になっているスカルプリキッドには効果への期待がもてないと決めつけることが、いかに危うい判断かがお分かり頂けると思います。
いわゆる「育毛剤」選びでありがちな先入観や思い込みをなくそう
医薬品(発毛剤)、医薬部外品(育毛剤)、化粧品(スカルプリキッド)の違いが整理できると、それまで「いわゆる育毛剤」として大雑把なイメージで捉えていたものが、よりクリアに見え、選ぶ際の基準も変わってきたのではないでしょうか。繰り返しになりますが、この3種類の指定の違いを理解しておくことは、非常に重要です。
端的にいえば「知る」ということですが、知ることによって、それまで何となく抱いていた先入観や思い込みを捨てることができるようになります。先入観や思い込みに囚われると、誤った方向に誘導されやすくなり、選択にも迷いが生じやすくなります。本当に効果の期待できる育毛剤選びも難しくなってしまいます。
なるべくそういう考えに囚われないためにも、「いわゆる育毛剤」を選ぶ際によく見受けられる思い込みについてもう少しチェックしておきましょう。根拠のない決め付けを持たないことが重要です。
よくある思い込み「医薬品」「医薬部外品」が効く
これまで述べてきたとおり、育毛剤を含む多くのスキンケア用品は、医薬品、医薬部外品、化粧品のどれかに区分けされています。一般的には医薬品が一番効果が高く、そこから順々に効果が薄くなっていくというイメージをもたれている人も多いことでしょう。大雑把に表すと、医薬品>医薬部外品>化粧品という感じでしょうか。
この認識は基本的には間違いではないかもしれませんが、どんな商品に関しても、必ずその認識が通じるとは限らないので注意が必要です。
例えば、プラセンタなどは医薬品や医薬部外品に指定されているものもありますが、原材料や液体による注射なのか粉末を経口摂取するのかなどによって、謳われている効能・効果がきちんと発現しないという場合も多々あります。似たようなことは育毛剤においても起こり得ることなので、医薬品の指定を絶対視しないことは重要です。
また、「化粧品」の項目で説明したように、これまでになかった新しい成分について、医薬品や医薬部外品の指定を受けるには、膨大な臨床試験データを揃えるなどコスト的にかなり難しい面があるため、製造・販売を行う側がそれを避けて、敢えて「化粧品」として販売する、というケースもあります。そうなると、髪を生やすのには有効な新しい成分が使用されているけれど、区分は化粧品ということになりますから、医薬品>医薬部外品>化粧品という序列は当てはまらないことになります。
従って、化粧品には効果がない、医薬品や医薬部外品なら効果がある、というのは誤りです。誤ったイメージに囚われてしまうと、「いわゆる育毛剤」を正しく選べなくなってしまう可能性があります。
よくある思い込みランキング上位商品なら効果がある
ネットで検索をかければ、数えきれないほどの「育毛剤ランキング」をみつけることができますが、ランキング上位にくることが多い育毛剤なら効果が見込めるかというと、そうとは限りませんから注意が必要です。
ランキングは順位づけですから、上位に来ている商品を注意深く見ていればいいので、一見すると選びやすくなりそうな感じもしますが、そのランキングは果たしてどこの誰がどんな基準で並べたものなのか、きちんとチェックすることができるでしょうか? おそらく、検証やチェックが不可能なものがほとんどではないでしょうか。
特に注意が必要なのは、ランキングサイトの運営者に、アフィリエイトなどで商品の売り上げごとに広告費が入る仕組みになっている場合などです。利率の高い商品が上位にくるように巧妙に操作されていることも珍しくないため、鵜呑みにしてしまうのは危険です。
また、「○○賞を受賞!」などと、受賞歴を目立つように強調しているものについても、注意が必要です。「金賞」や「最優秀賞」などといっても、実は簡単に受賞できてしまうというケースも、世の中にはたくさんあります。
表彰者は誰なのか、客観的に選ばれているのか、審査基準は厳しいのかそうでないのか、本当に権威のある賞なのか、などをよく確認して惑わされないようにしましょう。
否定的な意見も平等に載せて、なるべく恣意的な操作ができない仕組みのサイトを選んだうえで、参考程度にしておくのが無難かもしれません。
よくある思い込み「有効成分○○配合!」はたっぷり入っている
育毛剤もその他の化粧品などと同じく、商品のパッケージに宣伝文句として「○○を配合」と書かれていることが多いですが、この表記にも気をつけなければいけません。
主な成分としてたっぷり含まれていると思い込んでしまう人が出てもおかしくありません。ところが、あくまでも「配合」ですから、その成分の量がほんの少しでも入っていれば書けてしまうというカラクリがあります。
こういった事情は「医薬品」もしくは「医薬部外品」の指定を受けたり、商品に「薬用」などと記載したい場合に悪用されることがあります。このような手法を「一滴商法」といいます。
一滴でも含まれているから医薬品だ、医薬部外品だというのは、あまりに売り手側だけの都合が優先されている販売方法であり、批判されるべきものですし、使用者側である私たちにとっては注意すべきことです。
含有量が少ないのに、大げさに「○○配合!」と宣伝するのも良くないですし、逆に多量に含まれてさえいえればいい、というものでもありません。その成分が効果を発揮するための、最適な配合量というものがあります。効果の期待できる成分が、バランスよく適正に配合されている商品を選ぶことが大切です。
よくある思い込み薄毛治療中は「育毛剤」は必要ない
AGAや薄毛を治療するため、既にクリニックに通院しているという人もいらっしゃるかと思いますが、そういった方にホームケアがまったく必要ないかといえば、そうとも限りません。
育毛剤の使用というと、どうしても自力で薄毛をケアしたい人だけを想像しがちですが、治療中の人が育毛剤を使用しても、問題ありません。もちろん、クリニックの治療で十分に効果を実感し、満足している場合には必要のないことですが、望ましい治療はクリニックで受けながら、あくまでもその効果をサポートする補助的な役割りとして正しくヘアケアをすることも可能です。
ただし、むやみに育毛剤を塗布したり、頭皮に合わないものを使用したりすると炎症を起こしたりして逆効果になりますので、どのような成分の育毛剤を使用すれば治療の妨げにならないのか医師に相談してから選ぶとよいでしょう。
AGA・薄毛治療で使われる薬の成分とその特徴を知ろう
「いわゆる育毛剤」について、効果が期待できるものを選ぶためには、実際のAGA治療でどのような成分が使われていて、どんな効果があるのかをきちんと理解しておく必要があります。そのために、まずは治療で使われる医薬品の有効成分と、その効果についてみていきましょう。
治療の方向性は大きく2つ「薄毛の進行抑制」と「発毛促進」
AGA治療での「効果」には、大きく分けて2つあります。
1つは薄毛の進行を食い止めて症状を悪化させない「進行抑制・予防の効果」、もう1つは、薄くなってしまった部分に髪を生やす「発毛促進効果」です。
これらの効果はそれぞれ違うお薬によってもたらされますが、何を処方するかに関しては「AGA診療ガイドライン」が大きく関係しています。
AGA診療ガイドラインとは、日本皮膚科学会が策定している診療上の指針であり、薄毛治療として用いられる成分または治療方法を、5段階の推奨度に分けて評価しています。
AGA診療ガイドラインを参考にすることで、薄毛治療に効果のある成分が見極めやすくなりますので、推奨度と照らし合わせながら成分とその効果についてみていきましょう。
「薄毛進行の抑制・予防」に効果があるフィナステリド、デュタステリド
AGA治療の薬に含まれている成分に、「フィナステリド」あるいは「デュタステリド」と呼ばれるものがあります。AGA診療ガイドラインにおいても、A=「行うよう強く推奨される」という推奨度になっていて、AGA治療の現場で処方されることの多い成分です。
このフィナステリドが入っているお薬が「プロペシア」です。世界初のAGA治療薬として有名なので、名前を聞いたことがある人も多いことでしょう。実際の医療機関においては、AGA治療の最初の選択肢として患者さんに処方されることが多く、比較的ベーシックな治療といえます。
フィナステリドには、AGAや薄毛の原因となる悪玉男性ホルモン(DHT=ジヒドロテストステロン)の増加を抑える働きがあるため、薄毛進行の抑制、薄毛の予防効果が期待できます。
同様に、デュタステリドにも薄毛進行の抑制、予防効果が期待できます。これが含まれているお薬が「ザガーロカプセル」です。
フィナステリドと名前が似ているだけあって、体内での作用も似ていますが、デュタステリドは悪玉男性ホルモンを作り出す5α還元酵素という酵素への働きかけが少し違います。
フィナステリドは5α還元酵素のⅡ型にのみ作用し、悪玉男性ホルモンの増加を抑えますが、デュタステリドはⅠ型にもⅡ型にも作用することができるので、より強力な薄毛進行の抑制効果が期待できるとされています。
「発毛」の効果があるミノキシジル内服薬・外用薬
髪が生えてこなくなった部分から、新たに髪を生やす「発毛効果」については、「ミノキシジル」という成分が有効です。AGA診療ガイドラインではミノキシジルを有効成分とした外用薬が推奨度Aという判定になっています。
※ミノキシジルの外用薬(発毛剤)については、次項のなかで説明します。
ミノキシジルはもともと血圧改善のための成分として60年代に開発されましたが、副作用として多毛化が起こることが発見されてからは、薄毛治療の成分として応用されました。血管拡張作用があるため、頭皮の毛細血管が拡がり血行が促進されます。これによって毛母細胞の活性化が起こり、発毛が促進されます。
ミノキシジルを含んだお薬には、外用薬のほか、タブレットと呼ばれる錠剤型の内服薬も存在します。ただし、こちらのほうはAGA診療ガイドラインにおいては推奨度Dという判定です。判定の理由としては、治療の効果と副作用の検証がまだ不十分であること等が挙げられていますが、一部の医療機関ではミノキシジルタブレットの長い処方実績をもっている所もあるなど、治療の最前線においては、「発毛効果」が見込める有効な選択肢と捉えられている実情もあります。
「発毛」の効果が得られる最新の治療 成長因子療法
ミノキシジルのほかにも「発毛効果」が期待できるAGA・薄毛治療があります。それが、成長因子療法といわれている先端治療です。HARG療法あるいは、メソセラピーなどと呼ばれています。
HARG療法やメソセラピーに使用されている成長因子は細胞の成長を促す働きをもったアミノ酸やタンパク質のことを指します。グロースファクターとも呼ばれ、私たちの体の中にも存在しています。
細胞分裂を活性化させる指令を出すアミノ酸やタンパク質を頭皮に直接注入することで、毛包、毛乳頭、毛母細胞といった髪の毛を生やしたり、成長させたりすることに関係の深い細胞を活性化させて発毛を促します。
成長因子に関するガイドライン判定について
AGA診療ガイドラインでは、成長因子療法にDという推奨度がついています。これは、治療を行うにあたって施術環境の整備がまだまだ十分でないことなどが原因です。
誰でも施術が受けられるような治療とは言い難い状況になっているため、低評価になっていますが、治療方法そのものが根本的に否定されているワケではありません。
むしろ、治療そのものについては一定の評価を得ており、今後について期待されている治療方法であるといえます。そのため、発毛効果を求める際の選択肢として残しておく必要があります。
成長因子を用いたAGA治療では手技の技術と薬剤の管理に注意
成長因子の治療を受ける際に注意すべき点が2つあります。まず1つ目は、施術を担当する医師の手技の問題。注入に関する技術力です。
成長因子は注射によって注入するのが好ましいのですが、真皮層に的確に注入する技術が必要となります。表皮や皮下組織に入れてしまうと、痛みがあるだけで効果はありません。
では、ノーニードル法などの針を使用しない、痛みを感じない注入方法はどうかというと、痛みがない代わりに、薬剤がほとんど入っていかないというデメリットがあり、望んだ効果が得られない恐れがあるため、担当医師の技術力の問題は重要です。
成長因子を用いた治療を受ける際に、もうひとつ注意しなければならないことがあります。それが、「失活」と呼ばれる現象です。
「失活」とは、物質が活性を失って反応しなくなってしまうことをいいます。不活性化と言い表すこともあります。
成長因子とよばれる様々なタンパク質は温度変化の影響を受けやすく、適切な管理のもとに保存しておかないとすぐに「失活」を起こしてしまう非常にデリケートな物質であることが分かっています。
ある成長因子の活性について研究したレポートによると、25℃の環境に置いた状態では、4週間で20%ほど活性が低下し、20週間で70%も活性が失われてしまうことがわかりました。
成長因子の活性を落とすことなく長期間保存するためには、4℃程度に保たれた環境を維持する必要があります。冷凍してあるものかフリーズドライにしてあるものを、直前で水に溶かして施術に用いるのがベストな対応といえます。
成長因子によるAGA治療を受ける際には手技の技術的評判と失活対策の確認を
失活してしまった成長因子に、本来の効果は望めません。失活してしまった成長因子は物質としての活性が落ちてしまっているので、毛母細胞への増殖を促したりする働きを発揮することなく、体内で代謝されてしまうでしょう。
もしも、治療に使用されている成長因子のカクテルが失活を起こしていたら、いくら頭皮に直接注入したところで、本来期待されている効果は得られなくなってしまい、治療にかける費用も無駄になってしまいます。
成長因子療法を受けている、あるいはこれから受ける予定の人は、成長因子が失活を起こしていないかどうか、確認してから施術を受けたほうがいいかもしれません。
また、手技技術に関しては、形成外科としての技術や注入療法の経験、診療歴などについても、きちんと事前に確認しましょう。
これらのAGA治療を受けたい方は、医療機関を受診しましょう!
ここまでご紹介してきたAGA治療薬(プロペシア、ザガーロ、ミノキシジルタブレット)の処方、ミノキシジル外用薬の処方、成長因子を用いたメソセラピーやHARG療法などの治療が受けたい方には、医療機関の受診をおすすめします。
まだAGAかどうか判然としない方であれば、焦って無理に受診する必要はありません。タイミングはご自身の判断でよいと思います。
もう既に明らかな症状が出てきていて、なんとか治していきたいと考えている方については、一度は医療機関へ相談することをおすすめ致します。
特に、AGAの無料カウンセリングが受けられるような病院であれば、相談をしたその日にどうしてもAGA治療を始めなくてはいけない、ということではありませんから、安心して足を運ぶことができるのではないでしょうか。
- ・AGA治療ナビの相談サポートダイヤルに繋がります。
- ・AGA治療に対応した病院を無料でお探し致します。
AGA治療で使われる成分が入った発毛剤・スカルプリキッドをみてみよう
AGA治療で使用される有効成分とその働きがわかったところで、それらの成分が含まれている発毛剤についてみていきましょう。
フィナステリド、デュタステリドを含んだ育毛剤は?
フィナステリドやデュタステリドを配合したリキッドタイプの外用薬もしくは育毛剤は、存在しません。前項で述べたとおり、どちらの成分もプロペシアもしくはザガーロカプセルという内服薬のみという形になっています。
なぜ外用薬や育毛剤のように外から塗って使うことがないのか。それは、これらの成分の作用メカニズムによるところが大きいと考えられます。
フィナステリドもデュタステリドも、男性ホルモンの悪玉化を阻害する効果があるわけですが、その働きはホルモンやそのレセプター(受容体)に対して体の内側で発揮されるものだからです。体の外から頭皮などへ局所的に塗ったり浸透させたりして得られる効果ではありません。これらの成分の本来の効果を発揮させるには内服が適しているため、内服薬のみとなっています。
ミノキシジルを含んだ発毛剤なら「リアップ」
ミノキシジルを含んだ育毛剤として最も知名度があるのは、リアップではないでしょうか。大正製薬から発売されており、第一類の医薬品に指定されています。OTC医薬品なので薬局などで手軽に購入することができます。
商品名 | リアップ |
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メーカー名 | 大正製薬 |
主な有効成分 | ミノキシジル |
容量 | 60ml |
価格 | 5,500円 |
公式HP | https://brand.taisho.co.jp/riup/riup/product/ |
リアップはジェネリックが解禁に
リアップは2018年に製品の特許期限が切れたため、同じ有効成分ミノキシジルを配合した後発商品、ジェネリック発毛剤の製造販売が解禁となり、既に多くのメーカーが参入しています。
以下にリアップのジェネリックと呼ばれている商品をくつかご紹介します。すべて有効成分はミノキシジルなので発毛効果が期待できます。本家のリアップと比較される際にご参考ください。
- ミノファイブ
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メーカー 小林薬品工業 内容量 100ml ミノキシジル濃度 5% 価格 5,400円
- ミノアップ
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メーカー 東和薬品 内容量 60ml ミノキシジル濃度 5% 価格 5,300円
- リグロEX5
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メーカー ロート製薬 内容量 60ml ミノキシジル濃度 5% 価格 7,560円
- スカルプD メディカルミノキ5
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メーカー アンファー 内容量 60ml ミノキシジル濃度 5% 価格 7,800円
- ミノグロウ
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メーカー 岩城製薬 内容量 60ml ミノキシジル濃度 5% 価格 4,500円
成長因子を含んだスカルプリキッド
成長因子そのものは医薬品ではないため、発毛剤はありません。成長因子を主な成分とした場合には化粧品の指定になり、スカルプリキッドとして販売されます。
ミノキシジルと比較すると製品数が少なく、販売ルートも特殊だったりするため、あまり見かけないという方も多いかと思いますが、代表的な商品を1つご紹介します。
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商品名 モンゴ流スカルプエッセンス Deeper メーカー名 株式会社アルファウェイ 主な有効成分 成長因子(グロースファクター) 容量 60ml 価格 5,680円 公式HP http://www.mongoryu.com/deeper/dp-top.html
モンゴ流スカルプエッセンス Deeperは、KGF(ヒトオリゴペプチド-5)をはじめとする様々な成長因子を配合した化粧品で、育毛や頭皮ケアを目的として開発されています。
製品には複数の成長因子が配合されてますが、成長因子そのものへの失活対策は特になされていません。従って、期待される効果を得るためには、失活を起こなさないような保管環境を整えたうえで使用することが求められます。
成長因子(グロースファクター)を配合した育毛剤は、他と比べればそれほど種類が多くなく、比較的最近開発されている商品がほとんどです。
成長因子は、私たちの体内にもあるタンパク質のことで、細胞の分化や増殖を促進する働きをしています。種類は300種類以上ともいわれていますが、いくつかの成長因子には、発毛や毛髪の成長を促す働きかけをすることがわかっています。
成長因子を使用した育毛剤には、毛髪に関わる成長因子が数種類配合されており、これを使用することで成分が頭皮内に浸透していきます。毛包や毛母細胞、毛乳頭、毛母幹細胞などで細胞の分化や増殖が促進され、発毛へと繋がっていきます。
ホームケアで使う成長因子でも「失活」は要注意!
前述の成長因子の項目でも説明したとおり、成長因子は特定の条件のもと、適切に管理されていなければ失活を起こしてしまうデリケートな物質です。それは、家庭で使用するスカルプリキッドなどに含まれている成長因子も同じことです。適切に保管されていなければ、失活を引き起こしてしまい、期待する本来の効果は得ることができません。
成長因子のスカルプリキッドを選ぶ際には、失活対策も同時に考えるようにしましょう。ついつい発毛効果のほうに意識が向いてしまい、クリニックで使用される成長因子と同じような厳格で手間のかかる保管コストが求められる点は見落とされがちなので注意が必要です。
クリニックで最新のAGA治療に用いられる成分が、スカルプリキッドとして家庭で手軽に使用できるのはいいのですが、成長因子の失活対策について相当な注意を払い、適切に管理するコストを負わなければいけないのが、成長因子を含んだスカルプリキッドの短所ともいえるでしょう。
疑似成長因子を用いることで効果・失活対策を両立したスカルプリキッド
成長因子が失活を起こしてしまう問題をクリアし、ホームケアでもしっかりと成長因子の働きを確保することに成功している製品もあります。それが、メソセラポススカルプリキッドです。
時間の経過とともに失活してしまう成長因子ではなく、構造が似ていて常温管理でも失活を起こさない「擬似成長因子(シミラーグロースファクター)」に置き換えることで、問題が解決されています
商品名 | メソセラポス スカルプリキッド |
---|---|
メーカー名 | 株式会社メソケアプラス |
主な有効成分 | 擬似成長因子(シミラーグロースファクター |
容量 | 120ml |
価格 | 11,000円 |
公式HP | http://www.mesocare.jp/store/liquid/ |
現在のところ、成長因子を配合したスカルプリキッドやスカルプローションでは、失活対策をどこまで取り組むかについて、製品ごとに考え方が異なっている状況であり、成長因子を配合している全ての製品が、失活対策を行っているというワケではありません。
従って、製品を選ぶ際には、その点も考慮の対象にしておく必要があると思います。配合されている成長因子の種類や、その他の成分をチェックすることももちろん重要ですが、自身の使用環境を想像しながら、最適な製品を選ぶということも同時に重要になってくるでしょう。
ミノキシジルもしくは成長因子で育毛・ホームケアを行う際のまとめ
ここまで、AGA治療に使用される成分を含んだ育毛・ホームケア製品をみてきました。主にはミノキシジルと成長因子ということになりますが、これらを含んだ製品とその選び方についてまとめると、下記のようになります。
- 医薬品に該当する成分であるミノキシジルを含んだ製品は「発毛剤」であり、医療機関で処方してもらうこともできるが、一般医薬品として販売されている。「リアップ」が代表的。
- ミノキシジルを含む発毛剤は既に様々なメーカーから「後発商品(ジェネリックのミノキシジル発毛剤)」が発売されている。
- ジェネリックのミノキシジル発毛剤を選ぶ際には、容量と価格だけでなく、内容液の出しやすさ、ノズルの形状など、使い心地も考慮に入れて選ぶことが大切。
- 成長因子を配合したスカルプリキッドもしくはスカルプローションは、化粧品の指定にはなるが発毛効果が期待できる。
- 量販店などで気軽に購入できるほど一般的に流通しているとはいえない現状があり、ネット通販を利用する必要があるなど、購入ルートがやや特殊である。
- 成長因子の効果を期待するうえでは、失活についてケアしておく必要がある。最適な環境での使用が難しい場合は、失活対策がなされた製品を選ぶこともひとつの手段。
効果への期待を重視して育毛・ホームケアを行う際には、非常に重要な視点となると思います。ぜひご参考ください。
AGA治療では使用されない成分を含んだ発毛剤や育毛剤について
フィナステリドやミノキシジルに比べると推奨度が劣り、実際のAGA治療の現場で用いられることはないながらも、AGA診療ガイドラインでは、「使用してもよい」と判断されている成分を含んだ発毛剤や育毛剤が存在します。
そういった製品には、どのような成分が配合されていて、どのような効果が期待できるものなのか、詳しくみてみましょう。
医薬品指定 塩化カルプロニウムを含んだ発毛剤 カロヤンプログレEX
商品名 | カロヤンプログレEX |
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メーカー名 | 第一三共ヘルスケア |
主な有効成分 | 塩化カルプロニウム |
容量 | 120ml |
価格 | 4,320円 |
公式HP | https://www.daiichisankyo-hc.co.jp/site_karoyan/products/progreex/ |
カロヤンプログレEXは塩化カルプロニウムを有効成分とする医薬品で、第一三共ヘルスケアから発売されている発毛剤です。
カロヤンプログレシリーズには複数の製品バリエーションがあり、1%もしくは2%の濃度で塩化カルプロニウムが配合されています。
塩化カルプロニウムが配合されている外用薬としては、「フロジン液」が有名で、既に「アロビックス」というジェネリックも発売されています。
AGAを原因とした脱毛症状だけでなく、円形脱毛症を含めた様々な脱毛症状に対して処方されてきた経緯があり、AGA専門の治療薬という認識はされていません。
薄毛への効果としては、頭皮の血管拡張作用と、それにともなって血行が促進され毛包への栄養供給が増大し、発毛が促進されるというものです。
AGA診療ガイドラインでは、当初からC1の推奨度であり、近年もとくに評価は変わっていません。実際のAGA治療のなかで積極的に用いられることはほとんどなく、外用薬においてはミノキシジルが処方されることがほとんどです。
医薬品指定 ケトコナゾールを含んだ発毛シャンプー「ニゾラールシャンプー」
商品名 | ニゾラールシャンプー |
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メーカー名 | ヤンセンファーマ社 |
主な有効成分 | ケトコナゾール |
容量 | 50ml |
価格 | 2,480円 |
公式HP | https://www.janssen.com/japan/ |
ケトコナゾールは抗真菌作用がある成分として水虫治療などに使用されています。
脂漏性皮膚炎(皮脂を餌とする菌の増殖によりフケが発生し、炎症を引き起こす皮膚疾患)の原因とされているマラセチア真菌を抑えて、頭皮の皮脂分泌を正常化する効果が認められています。
同時に、AGAの原因となる物質、悪玉男性ホルモン(DHT)が作られる過程において、悪玉化に関わっている特定の酵素を阻害する働きがあるとして、AGAにおいても改善効果が期待されています。実際のAGA治療においては、ほとんど使用されていない成分です。
ケトコナゾール配合の育毛剤もありますが、シャンプーに配合された商品のほうが製品数も多く、手に入りやすい状況にあります。ただし、国内では外用ローションやシャンプーへの配合が認可されていません。
そのため、購入にはやや難があります。海外製品を個人的に輸入するか、輸入代行業者などを通じて購入するなしなければならず、ガイドライン上では「使ってもよい」とされている成分ではありますが、手軽なホームケア製品というには少しハードルが上がります。
医薬部外品指定 アデノシンを含んだ育毛剤「アデノゲン」
商品名 | アデノゲン |
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メーカー名 | 資生堂 |
主な有効成分 | アデノシン |
容量 | 150ml |
価格 | 5,475円 |
公式HP | https://www.shiseido.co.jp/adeno/products/adenogen_ex.html |
アデノゲンは医薬部外品に指定されている育毛剤で、有効成分は名前から類推できるとおり、アデノシンです。
有効成分アデノシンは、大手化粧品メーカーである資生堂が育毛効果を発見した物質で、もともと私たちの体内に存在しており、神経系統の情報伝達に重要な役割を果たしています。
AGA診療ガイドラインではもともとC1という推奨度でしたが、2017年にガイドラインの改定を行った際に、育毛剤などに使われているその他の成分の中では、唯一ワンランク上がって推奨度B=「行うよう奨められる」という判定になっています。(女性型脱毛症に関してはC1)
FGF-7という遺伝子が毛包細胞内に不足することで薄毛症状が引き起こされること、そのFGF-7を増やす働きがアデノシンにあることが、資生堂の研究結果から判明しました。
アデノシンを使用した製剤による臨床試験からも効果が認められたため、厚生労働省からも育毛に有効な成分であると承認されています。
ガイドラインの推奨度はC1からBというランクに上がりましたが、フィナステリド、デュタステリド、ミノキシジル外用薬の推奨度Aに比べるとワンランク下がるため、実際のAGA治療において使用されることは、ほとんどありません。
医薬部外品指定 t-フラバノンを含んだ育毛剤「サクセス バイタルチャージ」
商品名 | サクセス バイタルチャージ |
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メーカー名 | 花王 |
主な有効成分 | t-フラバノン |
容量 | 200ml |
価格 | 2,250円 |
公式HP | https://www.kao.com/jp/success/scs_vitalcharge_00.html |
育毛剤のサクセスバイタルチャージに含まれている有効成分はt-フラバノンといいます。
西洋オトギリソウエキスに含まれるアスチルビンに、毛母細胞を活性化させる働きがあることから、人工的につくられた化学物質です。育毛剤の発売元である大手メーカーの花王が開発しました。
t-フラバノンに期待される効果は、上述のとおり、毛母細胞の活性化、細胞増殖による毛髪の成長促進です。発毛というよりも髪を太く長く成長させる効果のほうが期待されているようです。
また、生えてきた髪の成長期を長くたもち、抜ける段階へと移行するのを遅らせて早期に抜けるのを防ぐ効果も期待されています。
AGA診療ガイドラインでは効果を示すエビデンスが弱いが、副作用が軽微であるため使用してよい、という判断からC1という推奨度になっています。実際のAGA治療などで積極的に用いられることはありません。
医薬部外品指定 サイトプリン・ペンタデカンを含んだ育毛剤「薬用毛髪力ZZ」
商品名 | 薬用毛髪力ZZ |
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メーカー名 | ライオン(LION) |
主な有効成分 | サイトプリン、ペンタデカン |
容量 | 200ml |
価格 | 3,980円 |
公式HP | https://mouhaturyoku.lion.co.jp/product/t1.htm |
AGA診療ガイドラインでも取り扱われるサイトプリン、ペンタデカンという成分が配合されています。推奨度はC1で「行ってもよい」という判定です。実際のAGA治療においては使用されていない成分です。
サイトプリンは日用品の大手メーカーであるライオン(LION)によって発見されました。ライオンと徳島大学の研究により、発毛と毛髪の成長には「骨形成因子(BMP)」と「エフリン」という2つのタンパク質が関わっていることが発見されました。これら2つのタンパク質を効率的に増産できれば髪を増やすことができるのではないか、という考えのもとに研究がすすみ、発見されたのがサイトプリン(正式名称:6-ベンジルアミノプリン)です。発毛を促す成長シグナルを増やす働きがある有効成分として、育毛剤のなかに配合されています。
ペンタデカン(正式名称:ペンタデカン酸グリセリド)は、炭化水素の一種で毛乳頭細胞を活性化させる働きがあるとされており、髪の原料ともいえる「ケラチン」の合成に必要なエネルギー供給効果も期待されて有効成分として配合されています。
AGA診療ガイドラインにおいては、「有効性を示す弱い根拠があり、副作用が軽微である」ということからC1=「使っても良い」という判定に至っています。
その他、この育毛剤は保湿成分としてオキナワモズク、浸透促進成分といて乳酸オクチルドデシル、皮脂の参加抑制成分としてピロクトンオラミン、血行促進のためのビタミンE誘導体などを配合しています。
発毛剤>育毛剤>スカルプリキッド という順番に優れていると思い込むのは危うい
ここまでご覧いただいた方には既にお分かり頂けていると思いますが、
医薬品指定の発毛剤や医薬部外品の育毛剤は効果が見込める、化粧品指定のスカルプリキッドは効果がない、というふうに決め付けるのは間違いです。
医薬品には、厚生労働省から効能・効果が認められているという信頼性がある反面、指定されるまでに時間がかかってしまう関係で、いわば「古い薬による治療」になってしまうという面があり、一長一短です。
医薬部外品も、医薬品ほどでないにしろ厚生労働省から効能・効果が認めらているという点はメリットとして大きいですが、「一滴商法」のように、AGAという症状の改善に直接関係ないものでも、「医薬部外品指定」として売り出せてしまうという側面があります。
化粧品は、公的機関から効能・効果が認められていないので、認められているものよりも劣っているように見られがちですし、効果の不透明な成分を使用した商品もたくさん見受けられます。
しかし、先進的な治療で用いられるものを、敢えて化粧品の指定で販売するケースがあることも事実なのですから、まさに玉石混交といえるでしょう。
このように、医薬品、医薬部外品、化粧品がそれぞれに持っている、二面性ともいうべきプラスの側面とマイナスの側面を知っていれば、発毛剤>育毛剤>スカルプリキッドという序列で効果があると思い込むことの「危うさ」も、お分かりいただけると思います。
ですから、本当に重要なのは、医薬品だから、化粧品だからではなく、その製品にはどのような成分が配合されていて、その成分にどのような効果があるのか、自身の薄毛症状に適合するのかが重要です。
発毛剤>育毛剤>スカルプリキッドというごく一般的な効果の序列イメージに惑わされないようにしましょう。
薄毛治療中でもホームケアは大切!使うなら効果の見込める製品を
ここまで、薄毛のホームケアの主力となる「いわゆる育毛剤」の選び方について、どうせ薄毛をホームケアするなら効果の見込めるものを選んで頂きたい! というテーマのもとに「育毛剤とは何か?」という根本的なところからご説明してきましたが、ご理解いただけたでしょうか。
AGA治療で使用される成分とその効果、それらを含んだ発毛剤やスカルプリキッド、治療で使われない成分の発毛剤や育毛剤について、改めて要旨をまとめると下記のようになります。ご参考ください。
- 効果が見込める成分とは、治療で使われる成分。薄毛進行の抑制効果・予防効果ならフィナステリド、デュタステリド。発毛効果ならミノキシジル、成長因子。
- フィナステリドやデュタステリドは発毛剤がないので内服薬を処方してもらおう!
- ミノキシジル配合の発毛剤はリアップが代表的。ジェネリックも発売されている。
- 成長因子配合のスカルプリキッドは「化粧品」でも効果への期待は十分もてる。ただし、失活には要注意。
薄毛が気になっている人にとって、ホームケアは大切です。薄毛のホームケアにもいくつかの方法がありますが、「いわゆる育毛剤」はその主役といってもいいでしょう。
「育毛剤」によるホームケアの良いところは、治療を受けている人でも、そうでない人でも、手軽に行えて、不安な気持ちが多少なりとも解消できる点にあると思います。
治療を受けている人なら、治療をサポートして効果をより高めることができるかもしれませんし、まだ治療を受けていない人なら、進行している薄毛に対処している安堵感が得られるでしょう。場合によっては、治療の代替になり得るかもしれません。
ただし、選び方を間違えてしまうと、安心どころか逆に不安にもなってしまうこともあり得ます。だからこそ、いい加減な情報に惑わされることなく、正しい認識のもとに「育毛剤」を選ぶことが大事なのです。医学的な根拠に基づいて効果が認められている成分を知り、それが配合されている製品を正しく使って、効果への期待がもてる充実したホームケアを行うようにしましょう。
1日2回、1mlを薄毛範囲に塗布して使用します。有効成分がミノキシジルですから、期待される薄毛への効果は発毛効果です。メーカーからの注意事項として、AGA以外の脱毛症には使用しないことが喚起されていますので、薄毛や脱毛の原因を分かったうえで使うことが望まれます。