AGAと重大疾患の関連性
更新日:2014年1月6日
AGAは命に関わる病気ではないし、自分さえ我慢できればいい。
そうです。確かにAGA自体は命に関わる病気ではありません。そのため、薄毛が進行してきても、気にしない方は「自分は気にしない」というスタンスの方もいらっしゃいます。しかし、「AGAの男性は重大疾患にかかりやすい」と言ったらどうでしょうか?
コホート研究として有名なコペンハーゲン・ハート・スタディより、「AGAなどの見た目の老化サインが、冠動脈疾患のリスクが高まっているサインでもある」ということが報告され、注目を浴びています。
※コホート研究とは対象となる特定の集団を長期間にわたって追跡調査する研究方法で、複数の情報を長期にわたって取得するため、信頼がおけるデータとして知られています。
AGAと心筋梗塞のリスク
今回発表された研究は、1万885人の冠動脈疾患を発症した人たちの「見た目の老化サイン」について分析したものだといいます。見た目の老化のサインというのはなにもAGAだけではありません。前頭部、頭頂部のAGAの他にも、白髪やシワ、まぶたにできる脂肪球の隆起、角膜の白濁、耳たぶのみぞ(深いシワ)などが挙げられたそうです。35年間の追跡調査の結果、対象者のうち3401人が心臓病を発症、そして更にそのうち1708人が心筋梗塞を起こしていました。これらの結果について研究者は、AGAの症状があらわれている方で40%、まぶたの脂肪球の隆起で35%、耳たぶのしわがある方では11%、心筋梗塞のリスクが高くなるなどのデータを発表しました。
AGAと冠動脈疾患のリスク
AGAと重大疾患の関係については過去から現在まで、様々なところで研究、調査されています。
別の研究チームが3万6960人のデータを用いて別の手法で調査した結果についても、非AGA群に対するAGA群の冠動脈疾患の相対リスクは有意に高いことがわかりました。また、頭頂部のAGAの重症度別に冠動脈疾患の相対リスクを検討したものでは、AGAの重症度に比例して冠動脈疾患のリスクが高くなるという結果が出ています。前頭部のAGAについては同じような結果が得られなかったことも踏まえ、「AGAの中でも頭頂部のAGAが冠動脈疾患のマーカーと言えるかもしれない」と結論づけ、AGA、特に頭頂部のAGAの男性は冠動脈疾患のリスクが高いことを示唆しています。
冠動脈疾患とは
冠動脈疾患とは、動脈硬化が進む影響で心筋への血液の供給が減少したり、血流が途絶えることで心筋が必要とする酸素量が確保出来ずに酸欠状態になることを指します。病態としては心筋梗塞、狭心症が挙げられ、生命の危険を伴う病気です。
AGAと冠動脈疾患がなぜ関連するのかは、上記の研究結果のみでは言及できないとしながらも、AGA治療薬のミノキシジルの効能が例として挙げられています。
ミノキシジルは血管の拡張作用がある治療薬として知られていて、頭皮の血流障害に対して効果的に作用すると考えられています。従って頭頂部のAGAが進行している男性は、頭頂部のみではなく、全身的に血流障害を起こしやすい可能性が考えられるようです。
薄毛は重大疾患のサイン
AGAと重大疾患の関係については、未だ研究段階の話ではありますが、もし本当に関連性があるのだとしたら、「薄毛が進行しても自分は気にしない」なんてことは言えなくなります。
近い将来、「薄毛になってきた」と感じたら、重大疾患を疑ってみる日が訪れるかもしれません。今後の更なる研究に期待しましょう。